エジプトには徴兵制度があります。日本にはない制度なので、興味ありませんか?
エジプトの徴兵制度は、社会に深く根ざした重要な制度であり、エジプト社会の価値観や家族構成に大きな影響を与えています。
この記事では、エジプトの徴兵制度に関する基本的な情報から、学歴ごとの兵役期間、徴兵免除の条件、二重国籍者に対する取り扱い、軍と政府の深い繋がり、そしてその社会的な影響まで、幅広く解説します。
1. エジプトの徴兵制度の基本情報
エジプトでは、男性に対して義務的に兵役を課す徴兵制が実施されています。
18歳以上の男性は、通常1〜3年間の兵役に従事する必要があります。
兵役は、エジプトの国家安全保障を確保するために欠かせない制度であり、兵士は通常、軍隊での訓練や任務に従事します。
兵役期間
- 高卒: 通常、2年間
- 大学卒業(学士号取得): 通常、1年間
- 大学院卒業(修士・博士号): 通常、1年間
- 中卒: 通常、3年間
陸海空のどこに配属されるかは、軍の必要性や兵士の適性、身体能力や専門技術によって決まることが多く、希望通りにいく場合は少ないよ。
2. 徴兵免除の条件
エジプトには、一定の条件を満たす場合に兵役免除の措置があります。代表的な免除条件は次の通りです:
- 唯一の男の子である場合
- 身体的・精神的な理由(健康上の問題)
- 父母のいずれかが外国人である場合(二重国籍者)
- 家族の経済的支援が必要な場合
3. 二重国籍者と徴兵
二重国籍を持っているエジプト国民(例えば、日本とエジプトの両方の国籍を持つ場合)は、エジプトの徴兵義務を免除されることがあります。
特に、エジプトと他国の国籍を持っている場合、軍の機密が漏れるリスクを避けるために、兵役免除の措置が取られることが多いです。
ただし、日本の法律上では生まれながらの二重国籍保持者は21歳までに国籍選択をすることになっています。
21歳で日本国籍を放棄した場合は、二重国籍ではなくなるため免除されないのが基本です。過去に二重国籍であったことは問わないようです。
4. エジプト人のエジプト軍に対する気持ち
エジプト人の多くは、軍に対して誇りを持っています。
そして、エジプト軍は、国民にとって「最後の頼れるヒーロー」のような存在であり、何かあった時に国民を守るために行動する存在として深く信頼されています。
歴史的に、軍は政治的変革の中心であり、国民の意思を汲んで行動することが多いため、軍が国民の支持を受ける理由は多いです。
例えば、2011年のエジプト革命では、ムバラク政権に対する大規模な抗議活動が行われた際、エジプト軍は国民の側に立つ姿勢を見せました。
結果、ムバラク大統領の辞任を促し、政治的変革をサポートする形となりました。この行動は、軍が国民の意思を尊重し、国の安定と安全保障を確保するために動いているという信念を強化しました。
軍服を着た兵士は国民の象徴として多くのエジプト人に愛され、特に若い兵士たちは希望と尊敬の対象となることが多いです。
また、親戚が多いと常に誰か徴兵されていたりするので、エジプト軍に対して親近感を持ち続けているのだそうです。
5. 徴兵制度の社会的問題点
エジプトの徴兵制度には、いくつかの社会的問題点があります。
最も顕著な問題点の一つは、徴兵中の給与の低さです。
兵役中の給与は非常に低く、家計を支えることができないため、家族からの支援が必要になります。また、兵役期間が長期にわたることも、若者のキャリアや経済的自立に影響を与えます。
徴兵中の給与の目安
- 基本給与: エジプトでの徴兵中の給与は、月額数百エジプトポンド(EGP)程度であり、通常は500~1,000 EGP(約30〜60 USD)程度とされています。これは、生活費をカバーするには十分ではなく、家族を持つ兵士にとっては非常に厳しい状況を作り出します。
- 手当てや追加支給: 役職や任務の内容によっては、特殊手当てが支給されることがあります。例えば、技術職や管理職に従事している兵士には、多少の手当てが支給されることがあるため、給与が若干増えることがあります。しかし、全体的には依然として低い水準です。
6. 女性兵士は職業軍人のみ
エジプトでは、女性兵士は職業軍人としてのみ軍に参加することができます。
エジプトの徴兵制度は男性にのみ義務として課せられており、女性は希望すれば職業軍人として軍に入隊することができます。
女性兵士は、主に医療部隊や事務職、教育職に従事します。近年では、戦闘部隊への参加も増えてきています。
1. 女性兵士の役割
エジプトでは、女性は職業軍人として軍に入隊し、さまざまな任務に従事することができます。女性兵士は、主に次のような役割を担っています:
- 医療部隊: 女性は医療部隊や看護部隊で勤務することが一般的です。女性の兵士が医療や看護の仕事に従事することは広く認識されています。
- 教育や訓練: 女性兵士は、訓練や教育に関連する業務を担当することがあります。特に、女性兵士を指導する訓練を担当する場合もあります。
- 警備や事務職: 軍の警備や事務的な職務に従事する女性兵士も存在します。
2. 女性の兵役参加
エジプトでは女性兵士が急増しているわけではなく、男性と比べると女性の軍務に従事している人数は少ないですが、社会的に受け入れられるようになり、特に都市部では女性が軍隊に参加することが増えてきています。職業軍人としての参加は、特にエジプト軍の航空部門や医療部門で目立っています。
3. エジプト軍における女性の地位
エジプトの軍隊で女性兵士がどのように位置づけられているかについては、次の点が挙げられます:
- 地位の向上: 女性が軍に参加することは一般的に受け入れられつつありますが、男性と比べてリーダーシップポジションに就く割合は低いです。しかし、少数ではありますが、女性が指揮官や高い地位に就いているケースもあります。
- 社会的役割: エジプトにおける女性兵士の役割は、伝統的に限定的であり、主に非戦闘職に従事することが多いですが、近年では戦闘部隊にも女性が参加するケースが増えつつあります。
4. 女性兵士に対する社会的な見方
エジプト社会では、軍隊で働く女性に対する見方は変わりつつあります。
伝統的に女性の役割は家庭や育児に集中していましたが、近年では女性の社会進出が進んでおり、軍隊への参加もその一環として受け入れられています。
しかし、依然として一部の保守的な考え方を持つ人々からは反対の声もあります。
7. 徴兵は本人だけでなく、家族単位での貢献
エジプトでは、徴兵は家族全体の貢献として考えられています。
兵役は、兵士本人だけでなく、その家族にも負担を強いることになります。兵役中、兵士の給与が非常に低いため、家族がその生活を支えることが必要になります。
特に、家族の中で唯一の男の子が兵役に就く場合、その家族全体が支援することが期待されています。
エジプト社会における家族のつながりは非常に強く、徴兵制度もその社会的な枠組みに基づいていると考えられます。エジプトでは、兵役を果たすことが家族全体にとっての義務であり、家族の負担を伴うという点が特徴的です。
家族のつながりと兵役
エジプトでは、家族が非常に重要な役割を果たしており、兵役においても家族単位での支援が求められることが多いです。徴兵される本人だけでなく、その家族も負担を強いられるという仕組みになっています。
- 家族の経済的負担:
- 兵役期間中は、兵士の給与が非常に低いため、家族からの支援が重要になります。兵士が兵役中に生活費を賄うことができない場合、家族がその支援を担うことが一般的です。
- 特に、兵士が唯一の男の子である場合や、家族の経済的支えとなっている場合、家族の負担が大きくなることがあります。この場合、兵士の家族は、兵役を終えた後の家計を支えることにも貢献します。
- 家族の役割と社会的義務:
- エジプトでは、家族全体が社会的義務を果たすという考え方が強いです。兵士が徴兵されることは、家族の誇りであり、家族全員が協力してその役割を果たすことが期待されています。
- 兵役に従事することで、家族の社会的地位や貢献が認められるといった側面もあり、兵役を支えることは家族全体の誇りとなることが多いです。
- 家族の負担としての徴兵:
- 兵士が徴兵されることで、家族は経済的、精神的に大きな負担を抱えることになります。兵役中は、兵士が家族の生活を支えることができなくなるため、家族全体でその負担を共有することになります。
- 家族の絆が強いエジプトでは、これが義務感や誇りとして受け入れられることが一般的です。
8. パスポート取得制限
エジプトでは、徴兵を終えていない男性は、パスポートを取得することができません。
兵役が完了していないと、海外渡航が許可されないため、兵役を終えた証明書を提出することが求められます。予備兵であれば、予備兵証明書を提出すればパスポートを取得できる場合が多いです。
条件と制限
- 予備兵証明書を提出することで、パスポートの発行が可能です。これは、兵役を終えたことを証明するために必要です。
- 予備兵としての義務が残っている場合でも、パスポートの発行は一般的に許可されることが多いですが、戦争や緊急事態時には再招集の可能性があるため、パスポート申請に影響が出る場合もあります。
- 予備兵証明書があれば、基本的にはパスポートを取得する際に問題はないはずですが、エジプトの政府が定めた特別な制限や措置がある場合、その影響を受けることがあります。
9. 予備兵制度
徴兵終了後30歳までは予備兵(予備役)として登録され、戦時や緊急時には再招集される可能性があります。
予備兵の任務は、通常平時にはほとんど活動がありませんが、(2年ごとに約1週間の訓練はあるそうです。)緊急事態には再訓練を受け、戦闘任務に従事することになります。
10. 徴兵未完了は就職や結婚に影響
エジプトでは、徴兵を終えていないと就職や結婚に影響が出ることがあります。多くの企業は、徴兵が終わっていない場合、採用しないことが多いです。
また、結婚に関しても、兵役未完了の男性は結婚に際して社会的な障害となることがあり、兵役終了後の社会的な自立が求められます。
11. エジプト軍と政府の深い繋がり
エジプトの軍と政府は非常に強い繋がりを持っています。
軍はエジプト社会における重要な政治的・経済的役割を担っており、軍関係者が政治的に影響力を持つことが一般的です。
例えば、現在の大統領アブデル・ファタフ・エル=シーシも元軍人であり、エジプトの多くの政治指導者は軍に関わりがあることが多いです。
エジプト軍は、国防だけでなく、経済活動や重要インフラにも深く関与しており、その影響力は政治や経済にまで及びます。これにより、軍の政治的支配が存在し、エジプトの政策に大きな影響を与えることとなっています。
まとめ
エジプトの徴兵制度は、学歴ごとに兵役期間が異なり、免除条件や二重国籍者に対する特別な取り扱いが存在します。また、女性兵士は職業軍人として軍に参加し、徴兵は家族単位での貢献を求めるものであり、家族全体が兵士を支える重要な役割を担っています。
さらに、パスポート取得制限や予備兵制度、徴兵が未完了だと就職や結婚に影響があるなど、社会的な影響が大きい制度です。
また、エジプトの軍と政府の深い繋がりもこの徴兵制度に大きな影響を与えており、軍は国家の防衛だけでなく、政治や経済にも強い影響力を持っています。
エジプト軍は、国内防衛に加えて、地域の安全保障や国際的な軍事協力にも関与しており、その規模と役割は非常に大きいものです。
夫に徴兵された時の話を聞いてみて思ったのは、訓練は辛かったけど母国の希望と尊敬の対象になった経験は、彼の中でとても肯定的なもののようだということです。
また、リビアやイスラエルの関係でここ数年でも何回か予備兵が招集されるのでは、と噂になったことがあります。この時には召集されませんでしたが、よく連絡をくれる甥たちが召集されるのではないかと、身近な人が危険な地に赴く可能性を考えた時に私は正直動揺してしまいました。
この時にも夫は「何動揺しているんだ。エジプトはエジプト人の手で守るんだからこれは当たり前のことだ。エジプト人がいかなければ誰がエジプトの地を守るというんだ。」と言っていて実際の行動を伴った愛国心というのは、とても深いものだと感じ取った次第です。
それでは、このへんで。ごきげんよう!













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